ホルケウ~暗く甘い秘密~
人狼に関する知識が増えたのは純粋に嬉しかったけど、俺以上に親父がとにかく喜んでいた。
特に、俺がまだ完全な人狼じゃないってわかった時。
もしかしたら、人間に戻れるかもしれないってわかった時は、俺も親父も狂喜した。
三年前の夏祭りの夜、噛まれたあの日から真っ暗闇だった俺の人生に、一筋の光が射した。
ちょっとだけ前向きな性格になった俺は、自分の能力を色々と調べては、数値化して記録していった。
俺以外の人狼にも何度か会って、実はこの町の周辺にはけっこう人狼がいるって知った。
データが積もっていくたびに、いつかこの情報が役立つ日を夢見た。
お袋を襲った記憶はまだ生々しく残っていたけど、それでもフラッシュバックの回数はぐんと減った。
種付けの本能が暴走する新月の日だけ学校を休んできちんと通い始めれば、前ほどじゃないけどそこそこ友達も出来た。
そして中学校二年にあがる直前に、俺は初めて恋をした。
佐伯愛子は、学年どころかうちの中学校で一番の美少女と有名だった。
快活で、誰にでも愛想が良くて、常に笑顔だった。
二年生にあがって、クラス替えの掲示板を見た時、死ぬほど嬉しかったのを覚えている。
同じクラスで、しかも隣の席だったのだ。
自分で言うのもなんだけど、顔だけなら万人受けする自信があった。
けど、人付き合いがあまり好きじゃない俺は、最初からこの恋を諦めていた。
もし彼女が俺の顔を気に入ってくれたとしてもだ。
話をすれば興味が失せていくんだろう。
今まで数多の女子がそうだったように。
何にも期待をしていなかったのに、たった二週間で俺の初恋はあっさりと叶った。
しかも、好きな子から告白される形で。
もうね、有頂天だったよ。
そこからは幸せな日々が続いた。
愛子のおかげで、俺の周りにはいきなり人が増えた。
その中からは何人か、友達と呼べる存在も出来た。
毎日のようにLINEして、土日のどっちかではほとんど遊んで。
新月の日以外のほとんどの時間、俺は楽しく過ごしていた。