ホルケウ~暗く甘い秘密~
けど、秘密を抱えながらの恋は、子どもの肩には重すぎた。
付き合い初めて半年もすると、愛子は俺が学校をサボるタイミングに規則性を見つけた。
それだけじゃない。
俺が何か隠し事をしていることに、気づきはじめた。
何があってもバレるわけにはいかなかった。
俺は必死でごまかした。
新月の日以外にも何回か休んで、ただの学校嫌いを装った。
だんだん、愛子と会うのが辛くなっていったのもこの頃だ。
嘘をついている罪悪感と、自分の正体を白状したい感情に揉みくちゃにされて。
それでもやっぱり側にいたくて、そのためには嘘をつくしかなくて。
とにかくしんどかった。
その頃俺は、スミス神父のいるカトリック教会に入り浸っていた。
愛子に嘘をつく辛さを、例え一時的にでも忘れることが出来たから。
スミス神父が超能力者だって知って、俺は安心した。
この人も普通の人じゃないんだ、って。
それと同時に羨ましくもなった。
スミス神父の超能力は、人を癒すものだ。
でも俺は、人を、特に女性を傷つけるだけの、はた迷惑な存在。
人狼の力の研究も行き詰まっていて、気分転換に久しぶりに十勝平野以外に行きたくなった。
ただ、その日は新月で、性欲のコントロールがいつもより上手くいかなかったから、なるべく人気の無い場所を探した。
斜里の海に行こう。
ふとそう思い、真夜中に俺は家を出た。
まだお袋がいた頃、夏になるとたまに遊びにいった場所だ。
目的地が近づくにつれて、潮の香りが濃くなっていく。
秋の海は穏やかで、北国独特の寒さが俺の火照った体を冷ましてくれた。
雲ひとつない綺麗な夜空に、新月だけがぼんやりと浮いていて、これからはたまにこっちに来ても良いかな、なんて考えた。
狼から人の姿に戻れば、湿った重みのある風が肌を撫でる。
服を持ってきてなかったから、あまり長いことその姿でいるのはまずかった。