戦乙女と紅(ヴァルキリーとくれない)
「ぬ…ぬうううっ!!」

大国の騎士達は次々と剣を抜き、馬上から降りた。

「押し包め!!例え二刀使いだろうと、数には勝てぬ!!」

十人はいようかという騎士達が、一斉に俺を取り囲む。

…いまだ俺は構えぬまま。

「…斬れ!!」

騎士達は前後左右から、同時に俺に剣を振り下ろす!!

しかし。

「何!?」

俺は頭上で左右の剣を交差させ、騎士達の斬撃を全て受け止めた。

そして、一気にそれを押し返す!!

押し返された事で、体勢を崩してよろめく騎士達。

その隙を見逃す筈もなく。

「ぐあっ!!」

「ぎゃあっ!!」

俺の素早い体捌きと斬撃によって、十人からの騎士達は全て斬られ、あっという間に戦闘不能に陥っていった。

「…見ろ!!」

小国の軍に向かい、俺は叫ぶ。

「大国の軍など、数ばかりで俺一人すら仕留められぬ腑抜けばかりだ!精強なる我が軍の力を以ってすれば、七万の軍勢など恐れるに足りぬ!!」

俺のその言葉に、小国の騎士達は地鳴りのような歓声を上げた。

…士気が高まる。

この時点で、この戦は八割方勝敗が決していた。


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