私は、1人あたり30分の接客で5000円のギャラが貰えるヘルスから、1人あたり2時間の接客で4万5000円貰えるソープランドにバイト先を変えた。
もう、これをやったらどうなるとか、そんな事は、どうでも良かった。とにかく、お金を早く払って、あの厄介な金融屋と縁を切りたかった。
支払いさえ、ちゃんとしてくれれば、私の親にも仕事場にも、迷惑のかかるような事はしないと言いながらも、何度か、店に電話を掛けてきたりしていた。

この頃の私は、恐怖心なんかよりも、負けてたまるものか・・・に似た勢いだけで、暴走していただけの事。別に勝敗のある問題じゃないし、自力でなんとかしなきゃならない問題じゃないのに、むしろ怯えていたのは自分の今まで確立したものから、信頼を失う事の方が怖かった。

自分の鎧を剥ぎ取られまいと、必死だった。

今でも思う・・・

もし、あの時代、今のように、悪徳金融がさほど騒がれていなかった時代、私が警察に訴えたら警察は動いただろうか、司法は完全に私を守れただろうか、仮に、その場で裁かれたとしても、後に逆恨みにあったりしていなかっただろうか・・・

余談になるけれども、この頃の私では想像がつかないかもしれないが、私は、こうした業界に足を踏み入れたことで、私なんかよりも想像もつかないトラブルに発展した女の子達に何人も遭遇した。

だから今となれば、あの時代に私が取った行動が完全にダメだったとも思えない反面、でも、あの時、こんな経験をしなければ、私の後の人生が大きく変わっていたのも事実なのである。

そして私は、ソープ嬢「あゆみ」として働くことになった。

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