AV女優

ちょうど、ソープで働いて2ヶ月ほど経った頃、金融屋から残債の通知が届いた。
すでに100万近い、お金を返済しているにも関わらず残債は、まだ200万以上もあった。


そして災難な事に、ここの所、ずっと痛み続けていた利き腕が、ある朝、全く動かなくなってしまった。力がまったく入らず、痺れも止まらない。
私は仕事を休み、病院に行くと手先の仕事をする人の職業病に多い腱鞘炎が酷く悪化していて、治療が必要なため、仕事を続けるのは困難であるとの診断だった。

また、長時間労働に加え、休みなし、睡眠不足も祟り、貧血を起こして、転倒する事もあった。
腕が不自由なので車の運転を控えて電車通勤をしていた時、過労から来る貧血に襲われて、電車のドアが開いたと同時に転倒し、安静を告げられてしまう。

仕事も一旦、無保証の長期休暇となり、支払いをする収入源はソープのみとなってしまったのだ。

200万の借金を、もう一度、銀行に相談し、なんとか融資してもらって返済できないものかと考えていた矢先だった。

しかし、腕の治療もあったので、しばらく美容師もソープも休みを取って自宅休養していた時の事、ソープの店長から電話がかかってきた。

「あゆみちゃん、この間ついた、お客さんで、覚えてる?ほら、ちょっと若いスラっとした男の人、あの人から指名予約の電話があって持ち出しなんだよね。

良かったら、脱ぐとかの仕事じゃないし、お金必要でしょ?出勤できるかな?」

確かに入店して間もない頃、年の瀬の近い自営業をしていると言う男のお客がついたことがある。

また、持ち出しとは、お店で入浴サービスをするのではなく、お客と店の外で食事をしたりする事を言う。

私は、それなら・・と言う事で着替えて吉原に向かった。





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