そんなある日のこと。

私は、以前働いていた自分の美容室に遊びに行った。

親や美容師仲間には「都内で事務のアルバイトをしている」事になっている。

かつて一緒に働いた先輩美容師とアシスタント達に囲まれ、久々に「本名」で呼ばれる会話を楽しんだ。
AVの世界にいると、荒木はじめ、スタッフも皆、私を芸名で呼ぶ。
そのせいか、本名で呼ばれる事の違和感は感じたものの、なんだか懐かしくて心地よかった。

その時、私が髪をカットしてもらっていると、1人の20代くらいの青年のお客さんが

「まだ、カット大丈夫ですか?」と店に入ってきた。

「大丈夫ですよ!どうぞ」と青年は店内に案内される。

サラサラのストレートヘアーは、ナチュラルな色で、きっとカラーもなにもしていない。

身長は、166cmの私よりも、少し高いくらいだろうか・・
白いシャツに、黒っぽい品のあるパンツスタイル。

目鼻立ちは、どこか、クウォーターを思わせるような、正統派の美青年だったと思う。
と、言うよりも人にはそれぞれ好みがあるが、少なくても私から見た、この青年は、品があって、綺麗な青年と言った感じだっただろう。



これが、良明と言う青年との出逢いだった。


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