君とさよならの時間 ~大好きの涙~
捨てたんじゃないって言うなら、どうして今までそっけなかったの?
「――わからなかったのよ」
「…え?」
「私たちとは全く違う、弱い体に産んでしまって……
最初は、自分たちのことより愛美のことを考えて、愛美がこれから先ずっと生きてくれるように手術はないか、いろいろ探したわ。
でも、なにもなくて。
毎日愛美と会うたび、なにも知らないような顔して寝てるからなんだか泣けてきちゃって。
なんて声をかけたらいいのか、わかんなかったのよ。
大丈夫って言葉も、嘘になっちゃう。
元気になるって言葉も、嘘になっちゃう。
――言葉が見つからなかったのよ。
だから、いつの間にか怖くなってたのよ。愛美に顔を見せるのが。
そしたら、行かなくなってたわ」