君とさよならの時間 ~大好きの涙~

あとわずかな命





 次の日から、私は動けなくなった。




 喋ることはできても、体を動かすのは不可能になった。



 歩くことも手を動かすことも、できなくなった。





 私の隣には、たくさんの機械が置かれている。




 ピッピッピッと規則的に鳴る音。


 薬の副作用で抜け落ちた髪。



 口には酸素マスク。






 ――あとどれくらいなんだろう。

 私の命の時間は。



 どんどん削られていく“奇跡の時間”。





 最近、家族みんなで会いに来てくれる。



「ありがとう」


 って言いたいのに、声が出なくて辛かった。



 口パクでも届いたかな?私の感謝の気持ち。






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