君とさよならの時間 ~大好きの涙~




 病院に帰り、507号室へ行く。





 あぁ、また独りの時間だ。空っぽの部屋に、うずくまって泣いている時間。






 誰も私に「大丈夫!?生きてね」なんて言わない。誰も望んでいない。



 看護師さんは仕事だから、「頑張って」なんて言うけれど。これ以上、なにを頑張ればいいの?



 手術はできないって言われて。薬は時間が進むたび増えていって。







 私はなにをどう頑張ればいいの?






 生きたいと願っても、死にたくないと泣き喚いても、現実はなにも変わらないっていうのに。


 私じゃない、普通に過ごしてるどっかの誰かは「死にたい」とか思ってるくせに。私は「生きたい」って思ってるのに。




 運命はそう簡単には変わらないんだ――――――………





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