君とさよならの時間 ~大好きの涙~
「俺も、独りなんだ。おふくろが死んだ、去年から」
「ひ、とり…?」
どういう意味?独りっていっても、あなた、お父さんがいるんじゃないの…?
「家族が、いるじゃない…」
「いるけど、いないみたいなもんだぜ?」
葉上は目を閉じ、過去の話を語り始めた。
「俺が中学に上がる頃、おふくろはおふくろみたいに優しそうな男と再婚したんだ。どっちも離婚経験ありでさ、男は俺のひとつ年上の女子を連れてたんだ。
そんで、俺ら4人は家族になったんだ」