君とさよならの時間 ~大好きの涙~
トントンとリズムのいいノックが聞こえたあと、ガラッと扉が開いた。
「あ、藤井先生、おはようございます」
「おはよう。調子はどう?」
「元気です」
「それはよかった」
入ってきたのは、私を診てくれてる藤井先生。
「じゃあ、また文字書いてね」
「はい」
そう言って、私のお腹あたりまで長テーブルを持ってきて、そのテーブルに紙と鉛筆を置く。
これは、私の力の強さを診るためのもの。文字を見て、今私はどうなのか、チェックするらしい。
そして書くものはいつも決まって「あいうえお」。書くのは簡単なんだけど、毎日毎日同じだから飽きるんだよね。
まあ、診てもらってる身だから、文句は言えないけど。