あくまで小悪魔【BL】
この場を取り繕う為の、嘘とかごまかしなんかじゃない。


その瞳の輝きの中に、真剣に、俺と向き合うつもりであるという、覚悟のようなものが見て取れた。


そんなの、俺に異存がある訳がないじゃないか。


ここで終結すると思っていた恋心が、もしかしたら成就できるかもしれないのだから。


「そんで、やっぱ違うな~と思ったら、普通の生徒に戻ってくれる?」


「え…。う、うん…」


しれっと発せられたその言葉に、一瞬目が点になる。


意外と小悪魔だな、この人……。


「んじゃ、今日の所はこの辺で。早く戻ろう」


一条は俺の腕からスルリと抜け出すと、鍵に手をかけた。


「ちょっ。何か、ドライ過ぎやしない?あんた」


ついさっき、あんなに情熱的な愛の告白をされたばかりだっていうのに。


「だってオレ、お腹ペコペコなんだもん」


言いながら、一条は唇を尖らせ、腹を右手でサワサワと撫でた。


【色気より食い気】を具現化したものが、今俺の目の前に……。


そのまま一条は鍵を開けてとっとと出て行こうとする。


俺は急いで鍵を閉め直すと、彼の肩を掴んで引き寄せた。


「しどう~」


抗議の声を発して俺を睨んでくるその可愛い瞳を見つめつつ、再び唇を近づける。


普通は食後に摂るもんだけど……。


ま、いっか。


俺はこの上ない幸福感に包まれながら


デザートのように甘くとろけるような一条のその唇を、思う存分、味わったのだった。
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