僕らが大人になる理由
慌ててトイレに逃げ込み、鏡で赤い顔の自分を確認してずるずるとその場に崩れ落ちた。

…同情なのか、情なのか、体が勝手に動いてしまった。

感情を抑えきれずに行動するなんてこと、今までなかった。


それなのに一体なぜ?


なぜ真冬の前だと、感情が上手くコントロールできない?

なんでこんなに、振り回される?


俺は、真冬のことが好きなわけじゃない。

これは絶対に違うと言える。

だって俺には由梨絵がいる。

大切にしたいのは由梨絵だ。

俺は、何度も何度も頭の中でそう唱えた。




「顔あっつ…っ」




本物のロボットだったら良かった。

ロボットだったら、何もかもコントロールできるのに。

俺は生まれて初めて、そう思った。






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