僕らが大人になる理由
“紺ちゃん…じゃあ最後にこれだけは聞かせて…真冬のことは、好き…?”
あの言葉が、ずっと脳裏を駆け巡っている。
光流の揺れた瞳が、震えた声が。
鮮明に思い出せる。
今までずっと、逃げてきたこと、隠してきたことを、初めて誰かにぶつけてしまった。
「…で、どうするの?」
「……え」
「宴会。テーブルの配置」
「あ、ああ、今紙に書きます」
「…どうしたの? さっき、一瞬びくっとしたようだけど」
「いえ、なんでも…」
…許されないことが増えるのが、大人になることだと、
責任をとることが、大人になることだと、
ただひたすらに拘束してきた。自分を。
そういう風に、生きてきたんだ。
心を殺して、ロボットみたいに。
「…心悩ましまくってるじゃない、やっぱり」
「………」
「どうしたら一番誠実なのか、分かってるんじゃないの?」
「いえ…」
「あらー、ロボットのくせに、問題解決法をプログラミングされてないのね?」
「………」
「使えないわ」
あゆ姉はそう言って、宴会用のセットを始めた。
あゆ姉の言葉に茫然としていると、ポケットで携帯が震えた。
…由梨絵からの、メールだった。