僕らが大人になる理由

真冬の心




二人の未来が不安なら

二人の今をつくった道を辿ってみよう




真冬の唄、というCDがあったので、ついつい検索して視聴してしまった。

それはとても繊細なメロディーで、真冬にピッタリな唄だと思った。


「よ、あけおめ、光流んるん」

「よー、お年玉くれ」

「第一声がそれかよ。なに聴いてんの?」

「んー、ちょっと」


友人の児玉は、俺と同じくらい女遊びが激しくて、チャラい。

身長も高いし、金持ちのボンボンだし、イケメンだし、まさにエリートだ。勝ち組ってやつだ。

ブランドのバッグを雑に置いて、児玉が隣に座った。

因みに言うと今は授業開始から40分経過している。大遅刻である。


「光流、今度S女子大との合コンあんだけど、来いよ」

「んーー、いいかな今回は」

「おやまあ。CAだったら?」

「んーー、いいかなそれも」

「あらあら。ヤリチン光流君ついに病気を貰ったか…なむなむ」

「ちげーよ俺の息子は健康だ」


そう言うと、児玉は目をパチクリとさせた。

じゃあなんで? と、食い気味に質問してきた。


「……好きな人がいる」

「…………」

「なんだその表情は。腹立つな」

「え!? なになに!? そんなの聞いてないよ児玉!」

「うるせーうるせー」


聞かせて聞かせて、と児玉は中学生みたいにはしゃいだ。

まじでうぜぇ。

そう思いながら、俺は板書を写した。

そんな俺の肩を児玉が揺らす。字が書けない。隣のがり勉君に舌打ちされる。最悪だ。


「児玉うざい」

「どういう子? おっぱいでかい? どこ大? 何で知り合ったの? 一女?」

「一つだけ答える。胸はBだ」

「Oh…」

「…バイト先の子。でもその子には好きな人がいる。その子の好きな人は俺も好きだからややこしい」

「え、光流んってバイなの?」

「あーそうそうそう」
< 156 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop