僕等のヒカリ〜ひまわりの小さなキセキ〜



「遥希です‼︎おばさん、どこですか⁉︎」




あちこち部屋を見たけれど、いなかった。



まさか……



バスルームに行き、ドアを開けるとカミソリを持っているおばさんがいた。




「何しているんですか⁉︎」




カミソリを奪い取って、安全な場所に置いた。




「……な……よ……」



「え?」



「死なせてよ‼︎もう、疲れたの。早く楽になりたいの……」




おばさんを見ると、1ヶ月前より痩せていて、目の下にはクマが出ていて頬は痩せこけていて、細かった体が更に細くなっていた。




「主人と話しても平行線のまま。奈緒は戻って来ないし、話がまとまってないから、ひかりが帰ってくるはずもない。もう、疲れたの……」



「ご主人とはどういうお話をされているんですか?」



「奈緒が記憶喪失になる前から、主人とはギクシャクしていてね。奈緒が記憶喪失になって、いなくなってからもう修復不可能になったの。
今揉めているのは、親権。」



「親権ですか……?」



「えぇ、私は2人とも引き取りたいんだけど、主人は反対していて。主人はひかりを引き取りたいみたい。お姉ちゃん大好きっ子のひかりを奈緒と引き離したら、それこそ大変なことになるわ。」




確かに……


それに俺の場合は母親が死んで俺は父親を選んだけど、今回は状況が違うし、2人共どちらを選ぶか分からない……






< 158 / 193 >

この作品をシェア

pagetop