未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
予定通り、俺の35歳の誕生日に結婚式が行われた。確か母は地味に行なうような事を言っていたはずだが、どこが地味なんだろう。来賓の人数は優に千人は超えていたと思う。

その人達も奇異に思ったと思うが、小松側、つまり本多家の身内は一人も出席しなかった。小松が言うには、結婚式に呼ぶような身内は一人もいないのだそうだ。

つまり小松は天涯孤独、という事になるが、本当は少し違うんじゃないかと俺は思っている。そう言った時の小松の表情や言い方で、実は何か隠し事があるのではないか、と俺は思ったのだ。それを無理に聞き出そうとは思わないが。


ハネムーンへは行かなかった。小松が妊娠初期でまだ不安定な事と、俺も長くは仕事を休めないからだ。兼続が発案した新規事業のプロジェクトは、これからが正念場なのだ。


結婚式から数日後の週末、真田家は顧問弁護士の石田三成氏を屋敷に招き、家族全員が居間に集まった。遺産相続の話を聞くために。

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