【新】俺様社長の溺愛
通り過ぎた瞬間、愛海がしゃがみ込むのが見えて、

思わず振り返った。

・・・ドン。

誰かが、オレの横を素早く通り過ぎて行った。

…それは理人だった。


「ちょっと、愛海、大丈夫?」

愛海を支え、声をかける女性。


「顔色が悪い、とりあえず、控室に連れて行こう」

そう言って理人は、愛海を抱き上げた。


オレも咄嗟に、愛海に近寄ろうとした・・・が。


理人が、無言で、目で訴えた。

『来るな』

そう言ってるのが分かって、動こうとした足が止まる。


「…あの子、大丈夫かしら?」

そんなオレの横に立って、神村順子が呟いた。


「…連れもいるようですし、大丈夫でしょう」

…本当は、今すぐ愛海の傍に駆け付けたかった。


…だが、理人の止められた以上、

傍に近寄るわけにはいかなかった。
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