【新】俺様社長の溺愛
…この人は全然わかってない。

…大事な人が、自分の手元からいなくなる恐怖を。

…どんなに手を伸ばしても、触れる事が出来ない悲しみを。


「秀人さんが、そんな事をして喜ぶと思いますか?」

「・・・」

ナイフを持っていた手が震えた。

・・・彼女もきっと、喜ばないと分かっているはず。


「私のお腹の中には、秀人さんの血を分けた、大事な子供がいるんです。

私を殺せば、この子も死ぬ・・・

秀人さんの分身を殺すことになるんですよ?」


「…半分は、貴女の血が流れてるじゃない・・・

私と、秀人さんの子供を作るから大丈夫よ」

そう言った彼女は、ニヤッと笑った。


…この人、気がふれた。

…愛する者を手に入れる為に、自分を見失ってしまっている。


…私が何を言っても、聞く耳を持ってはくれない?

…じゃあ、どうすればいい?


…私はどうなってもいい。

…でも、この子だけは…生きてほしい。
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