そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】

「……鈴音ちゃん、さっきはごめんね」


社員を売った社長が申し訳なさそうに私のデスクの上にキラキラの銀紙に包まれた小さなお菓子を置く。


「これ、お世話になってる菓子工場の人に貰ったチョコなんだけど、凄く美味しいんだよ。これ食べて機嫌直して。ねっ?」

「フン!」


こんなモノで誤魔化されないんだから……と口の中にチョコを放り込んだその瞬間、何かがひらめいたんだ。


「これって……」

「チョコがどうかした?」

「社長、このチョコって茶色以外の色あるの?」

「えっ?あるよ。黒とか白とかピンクとか……その他にも色々」

「ソレですよ!」

「どれですか?」

「いいですか?肌色に近いチョコで女性の胸の形を作ってビーチクの部分をピンクと黒のチョコで2バージョン作る。

そんで、チョコを包んであるこんな感じのキラキラの銀紙でブラを模りビーチク部分を隠す。で、ピンクのビーチクが出たら当たりでもう一個貰えるってのはどうですか?」

「おぉ!黒がハズレでピンクが当たり?非常に現実味があっていいねぇ~僕もビーチクはピンクがいい!」


自分のビーチク論を熱く語り興奮気味の社長がウザい。社長の趣味なんて全く興味ないしどうでもいい。てか、聞きたくもない。


「で、このアイデアどうなんですか?」

「うんうん。いいよ~採用決定~」

「えっ……あ、そう……」


なんか拍子抜け。めっちゃ軽く採用されてしまった……でも、こんな簡単に決めちゃっていいの?


適当な社長に一抹の不安を感じたが、今の私には、このアイデアが精一杯かも……


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