そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】
すっかりテンションの上がった社長が体をクネらせながらどこかに電話しだした。
「そうそう!ビーチクは黒とピンク。宜しくね~」
どうやら試作品を作ってくれる工場のようで、明日、朝一で試作品を持って来てくれるよう頼んでる。
「これでよし!っと……。明日が楽しみだね。鈴音ちゃん」
浮かれてる社長を横目に、私は素直に喜べないでいた。
果たしてこんなのがホントにヒット商品になるんだろうか?またおこちゃま詐欺師野郎にボロクソにけなされ島へ帰れとか言われるんじゃないか……
なんて、そんなことばかり考えていたら、ほとんど眠れなかった。
――――そして、次の日……
ソワソワして落ちつかない私は早朝6時に出社し、まんじりともせずその時を待つ。9時には社長も出社し、10時にはおこちゃま詐欺師野郎が現れた。
「ほーっ、ビーチクチョコねぇ~」
「そーそー!黒かピンクか、どっちが出るかお楽しみ~ってやつ!」
そこへ試作品を持った工場の男性がやって来て、いよいよお披露目だ。
ドキドキドキ……
デスクの上に並べられた手のひら大のオッパイの先端には、黒とピンクの立派なビーチクがくっ付いていた。
二つのオッパイを眺め全員、暫し無言……沈黙が支配する異様な雰囲気。
その重苦しい空気に耐え切れず、私と社長がおこちゃま詐欺師野郎の顔を覗き込むと、腕組をし難しい顔をしてオッパイを凝視してる。
やっぱ、こんなのじゃダメなのかな……
諦めかけた時、やっと彼が口を開いた。