ズボラ女子が恋をした場合。
―遥斗side―
「なぁ、遥斗は花火大会、清谷と行くの?」
終業式が終わった。
明日、いや正確には今日から部活漬けの夏が始まる。
グランドへ向かう途中で、拓哉はそう俺に話しかける。
「あぁー、その日、部活が休みなんだっけ?拓哉は美咲ちゃんと行くの?」
「まぁな。美咲のやつ、浴衣着るって張り切ってた。ってか話逸らすなよ。遥斗はどうすんの?」
花火大会か。
なんだかんだ毎年、
すずと一緒に行ってる気がする。
あいつの浴衣姿を最後に見たのは、確かもう小学校の時だっけな。
中学校入った頃くらいから、めっきり着なくなった気がする。
私の浴衣姿なんて誰も興味ないからなぁーなんて、そう言ってケラケラ笑うすず。
そんなことないってきっと優しい男なら言うだろうが、俺は言わなかった。
だって本当に、別に誰も興味ないんだろうし。
俺も、別にあいつの浴衣姿見たいって、…思ってないし。