彼の腕の中で  甘えたくて
お互い平日は仕事の都合で会えなかった。

週末はどちらかの部屋で過ごすようになった。

「由衣、年末年始の予定ある?」

「特に無いの。京也は?」

「毎年テレビ三昧かな?」

「同じようなものかも。どこか行くの?」

「俺は別に。由衣は?」

「じゃぁ、美味しいものを食べに行きたいな。」

「何、美味しいものって?」

「中華とか。」

「いいね。そうしよう。」

「平日はいつも遅いの?」

「ほとんど残業か接待が入っているよ。」

「そう、忙しいのね。」

「どうして?普段も会いたいのか?」

「そりゃ会いたい時もあるし、私も会議が夕方からだと帰りが遅くなるし、出張もあるし、いろいろあるとやっぱり無理かと思って。」

「一緒に暮らしたい?」

「でもやっぱり無理。」

「そうだな、無理だ。たぶん普段はすれ違いばかりで終わっちまうと思う。」

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