彼の腕の中で  甘えたくて
「京也って哲学者っぽいのね。それとも詩人かしら?」

「そんなこと言われたのは初めてだ。」

「私、京也のこともっと好きになりそう。私にいっぱい愛されて苦しくない?嫌じゃない?」

「そんなことちっとも思ってないよ。由衣に負けないほど俺も強く想ってる。もっと早くこうなりたかった。」

「そのこと悔やんでいるの?もっと早く私と付き合っていたかったって、そう思うの?」

「いや、初めはそう思ったが今は変わったよ。由衣とこうなれたのはやっぱり何年も前ではダメだったんだ。今でなくちゃダメだったんだ。無理に忘れようと何度も思った。でも引きずっていたんだ。ガキだろ、俺って?恥ずかしいけど本当のことだ。呆れただろ?」

「私、そういう所も全部含めて京也が好き。私がもっと愛してあげるわ。覚悟していてね。」

「俺にとっては嬉しい覚悟だ。」

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