彼の腕の中で  甘えたくて
出張の甘い罠
「では週明けから出張を頼んだよ。森田くん!」

「はい、課長。」

「それから河野を一緒に連れて行ってくれないか?君の後輩にも現場の味を覚えさせられる良い機会だ。」

「わかりました、課長。」

「河野、ちょっと来い!」

「はい!」

「主任と出張に行って来い。出張明けにレポートを提出すること。主任からノウハウを盗むんだ、いいな!」

「はい。」

私は営業部の主任に抜擢されて半年経った。

商品はストッキングを取り扱っていた。

この業界もマンネリ化し、ヒット商品にはなかなか恵まれなかったが、私の恋人、高野京也の郷里が山梨だったことが元で私が考案した商品が今回爆発的な利益を得ることになった。

京也の地元にはワイナリーが多く、彼が私にヒントとくれたと言ってもいいくらいだった。

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