もっと甘く   ささやいて
コンコン、誰かがドアをノックをした。

「ん?ああ、つい寝てしまったな、どうぞ!」

「チーフ、来客中にすみませんが。」社員がメモを渡しにきた。

「わかった、すぐ行く。」

「失礼しました。」ドアが閉まった。

「はぁ~あ、100時間くらいぶっ通しで眠りたいな。」

私は心の中でその言葉に賛成だった。

「悪いが急用が入った。この件は後日ゆっくり話そう、いい?」

「はい、ありがとうございます。」

村田さんはドアまで来てくれた。

「それから、さっきの言葉、嬉しかった。時間を作るからもう一度聞きたい。」

「えっ?」彼は私に軽くキスをした。

そして耳元で言った。

「私の想いも君と同じだ。」

私は耳を疑った。

でも唇には彼の感触がまだ残っていた。

「気をつけて帰りなさい。」

「はい。」と私は無意識に返事をして、開けてくれたドアの外へ出た。

ガヤガヤと騒がしい編集部のフロアをゆっくり歩いた。

彼の言葉が信じられなくて、いつだったか彼が言ったことを思い出した。

彼の想いだけを感じ取れる相手は、この世に一人しかいないのだと。

それが私なの?

私でいいの?

私の想いは届いたの?

それは次に会う時、確かめられる。

その時は必ず来る。

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