呪いのブレスレット
保健室の簡易ベッドに横たわったあたしはひかりが死んだことがショックで気がおかしくなりそうなのに、なぜか涙は出なかった。

どうして? 泣き虫のあたしなのに?

保健医によると、親友の死がショックでこうなったのだと言った。

手はまだ小刻みに震えていて冷たい。

ひかり、すごく痛かったよね。

トラックに轢かれた。その言葉が耳から離れない。

「あっ!」

昨晩の帰り道を思い出した。

虫の知らせって本当にあったんだね。あの声はやっぱりひかりだった……気づいてあげられなくてごめんね。ひかり。


一時間目が終わり、翔平が保健室で休むあたしのところへやって来た。

ベッドに横になっても眠れずにいた。

カーテンがそっと開き、きりっとした眉の下の黒い瞳と目が合う。

「具合悪いんだって?」

「……うん。でも、もう大丈夫」

あたしはベッドの上に起き上がった。

身体を起こした途端、身体がぐらっと揺れる。

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