呪いのブレスレット
「これ、お前のチョコだよな」

翔平は大きな体をかがめて、なにかを拾った。

あたしに差し出されたのはチロルチョコ。

この一口サイズのチョコが大好きで、常にカバンの中に入れてある。

「あ! そうそう。ありがと」

四角い小さなチョコを受け取ると、無造作にカバンの中へ放り込む。

「あ~あ、そんな適当で、チョコがぐちゃーっとならねえのかよ」

「大丈夫、大丈夫」

ま、夏にはM&Mが良いんだけどね。

ははっと笑って、教室の後ろに置いてあるラケットバッグを肩から担ぐ。

「いこ」

翔平は入口に置いてきたバボラの6本ラケットが収納できる大きなバッグを持った。

彼がテニスを始めたのは小学校1年だそう。長いテニス歴があり、ほかの部員より群を抜いてうまい。

試合でもよい成績をおさめている。

あたしも同じテニス部だけど、中学の時は軟式テニス、高校になってから硬式テニスに変わったので、実力はいまいち。

この世界、小さい頃からテニススクールで鍛えられていた選手が多いから、試合では2回戦勝てればいい方だ。

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