悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~


「櫻庭KINGから聞いてる。
 高等部の間、転校だって」

「はい。
 一身上の都合で」

「涼夜が決めたことなら俺は何も言わないよ。

 ただ、逃げ出すんじゃねぇ。
 それだけだよ」


デューティはそう言うと帰国した直後、
そのままに広げまくってる鞄の中身を整頓し始める。


「涼夜、餞別に持っていくといい。
 有村の新作だ」


そう言って、自身が専属提携している
ブランドの何かが入っている箱を投げ寄越した。


「お世話になりました。
 頂いていきます」

「涼夜、日本語はしっかり使え。
 まだまだ面倒見てやるから何時でも連絡しておいで」


そう言って、名刺らしきカードを投げ寄越す。 
 


その名刺を慌てて受け止めると、
俺はそのまま、デューティの部屋を後にする。



明くる日、倉智の迎えが到着すると
そのまま車を走らせて香宮学院への敷地内へと侵入する。


そこでそのまま転入テストを受けて、
入学が決まったと同時に倉智によって入学金などが振り込まれ
明日からの入学を許されることになった。

 

翌日、俺は急きょ誂えさせた学院の制服に袖を通して
倉智の車で学院の門を潜った。




倉智と離れて一人で校舎に向かう最中、
あの写真で見た徳力神威を見つけた。



アイツの隣には誰かが居て、
その男に引きづられるように
屋上へと続く階段を連れられていく。


そんなアイツを見上げながら、
溜息を吐き出して、
そのまま理事長室を訪ねる。




「失礼します。
 今日より、転入します朱鷺宮です」


ドアをノックして声をかけると、
試験の時にも姿を見せた理事長の二階堂が姿を見せる。



「どうぞ、朱鷺宮涼夜さん。
 お待ちしていました」



俺の名前が宮籍にあることを知る二階堂。



「先日、司宮(つかさのみや)様より
 お電話を頂いておりました」

「竜也(たつや)兄さんから?」

「はいっ。
 司宮さまとは何どかお顔をあわせたことがあります。
 当校にも何度も足をお運び頂いていますから」

「三年間、宜しくお願いします」

「朱鷺宮様の学院生活が一生に残るものとなりますように」



二階堂はそう言うと俺を別室へと案内した。
< 101 / 104 >

この作品をシェア

pagetop