悠久幻夢嵐(2)-朱鷺の章-Stay in the Rain~流れゆく日々~
「ないと言ったら嘘になる。
徳力に捨てられたと
荒れた時期もあった。
だが今は、
兄貴の想いを知った。
あのまま俺が徳力に居続けては
お前との今の関係には
なり得なかった。
兄貴は知ってたんだろうな。
こうなりゆく未来を」
「明日から学校、
行っていいんだろ」
「あぁ。
無理だけはするな。
二階堂にも伝えておく。
仕事に戻る。
人の手が欲しい時は、
下の義母を呼べ」
そう言うと飛翔は、
父さんの手紙を封筒に片付けて
再びポケットに差し込むと、
お盆を持って出て行った。
☆
翌朝、
いつものように起き上がると
再び、
香宮へと通学する。
もし何かが始まると言うなら、
俺はこの場所から
逃げることなんて出来ない。
朱鷺宮……。
お前が何かを企んでいるなら、
探ってやるよ。