悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence



「失礼致します。
 YUKI、今日も来たわよ」



そう言って姿を見せたのは、見知らぬ女の人。



「あれっ?先にお客様がいらしていたのね。
 徳力さま……かしら?」

「はい」

「社長から伺っています。
 この度は、由岐が大変お世話になりました。

 私、由岐のマネージャーを務めている有香琥珀です」


そう言って、その人はゆっくりとお辞儀をした。


その後ろから姿を見せたのは須王依子……。



「こちらは須王依子。

 新たに、由岐のサブマネージャーとして入社した新人スタッフです。
 依子、ご挨拶を。
  
 我が社がお世話になっている徳力さまです」

「初めまして。
 この度、トパジオスレコードに入社しました須王依子です。

 どうぞ宜しくお願いします」



そう言って挨拶をかえした存在は、
今までの出来事を何も知らないかのように元気に笑顔を見せた。



「お体は?
 最近まで意識がなかったと伺っていますが……」

「まぁ、依子そうだったの?
 今は大丈夫?」

「有香先輩、大丈夫です。
 何か凄く長い夢を見てたんですよ。
 YUKIの夢を……。

 ずっと寂しくて孤独で不安で……。
 だけどYUKIが夢に出てきて私を助けてくれたから。

 だから今度は、本当に意味で私がYUKIの力になりたいんです。
 父の会社の時はご迷惑を沢山掛けましたから」



そう言うと、依子は愛しそうにベッドに眠り続ける由岐和喜と書かれた青年に
そっと触れた。




「神威、行くか……」



これ以上の長居は邪魔になるかもと、声をかけて病室の外へと退室する。



「また来る……和鬼」



そう言って神威は、俺の後を追いかけてきた。




 





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