悠久幻夢嵐(1)-雷の章-a rainy insilence



人気の感じられないシーンと静まり返った屋敷内を
周囲に気を張り巡らせながら、一歩ずつ前に足を踏み出していく。




こんなにも静まり返った総本家は初めてで。




総本家に居る人を探すように、家の中へと一歩踏み入れた途端、
突然、重苦しい空気が体中に張り付いてきて圧迫していく。



常識では計り知れない現状に理性はついていくことは出来ず、
締め付けられる感覚に、意識を手放した。




次に目が覚めた場所は見知らぬ場所。




洞窟の中に作られている座敷牢なのか、
時折、ピチャンと水滴が落ちては跳ねる音が耳についた。



光のささない空間で、
手探りで携帯電話を掴む。

一途の望みをかけて開いた携帯は、
すでに充電がキレて、音信不通の状態だった。


これじゃ、
GPSで居場所を知ることも出来ないか……。




まだ痛みの残る重い体を
岩肌に寄りかかせるようにして起こすと
息苦しさが残る体。



何処からともなく流れ込んだ生ぬるい風が頬に触れた。




暗闇に視界が慣れ始めた頃、
改めて自分の居場所を観察するように見つめる。






此処は何処なんだ?






脳裏には総本家周辺の地図を思い浮かべながら、
総本家の敷地で体験した、非現実的な出来事。


そして……今、俺の身に降りかかっている出来事を
冷静に分析するように、思いおこしていた。




この時点で……総本家に向かった日から
何日過ぎているのかわからない。


ただ此処に来る前に予防線は貼ってある。

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