LAST SMILE



また・・・。




亜貴が苦笑した時は、
お兄ちゃんのような、

あたたかい感じがしてドキッとした。


だけど、祐兎が笑うと愛しくて、
何故だか離れたくなくなってしまうような


そんな感覚に包まれる。




気付くと、あたしの家の前まで来ていて、
祐兎は手を離そうとした。




「祐兎!!」




その手を、あたしは握りなおした。



びっくりする祐兎。


あたしは目をあわせられなくて、
それでも続けていった。




「無理はしないでね?絶対だよ?」



「わかってるって。
 お前にいわれなくてもそんな面倒なことしねぇよ」



そういって前髪をかきあげる。



「じゃあ、おやすみ」


「ん。また明日」


「また、明日・・・」



祐兎は右手をすっと上げて手を振ると、
そのままもと来た道を引き返していった。




「ゆ、祐兎!!」



あたしが呼び止めると、祐兎は振り返った。



その口元には、
もう煙草がくわえてあった。




「なんだよ」


「もしかして・・・。
 家、反対方向なの・・・?」



もし、反対方向だったら、
あたし、こんなとこまで歩かせて・・・??



あたしは不安でそうたずねた。


祐兎は煙草の煙をふーっと吐くと、
あたしの顔をじっと見ていった。



「女なら黙って家まで送らせときゃいいんだよ。
 ばーか」


「あ、ありがとう!!祐兎!!お休み!!」



あたしがお礼を言うと、
祐兎はふっと静かに笑って、


暗がりの中に消えていった。





やっぱり、
祐兎は優しい人なのかもしれない。


だって、悪い人のふりは簡単にできるけど、
優しい人のふりをするには難しすぎる。



だから祐兎は、
根は優しい人だったりするのかもしれない。




口は悪いけど、
あたしはそうだって信じたかった。




口元にキスの感触を残しながら、
あたしはゆっくりと家の中に入った。






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