LAST SMILE



あたしは亜貴と一緒に職員室を出た。


すたすたとだるそうに廊下を歩き出す亜貴に手を引かれて、
あたしは屋上まで来た。



「ありがと・・・」


「ん」



この人・・・。
話しづらいな・・・。


わりと無口だし、なんかいつもつまんなそうだし。


あたしがじっと見つめていると、亜貴と視線があった。


「何?」


「や、なんでここに来たのかなぁって・・・」


「別に。ここの生徒なんだし、普通に来るだろ」


「で、ですよね~」



そらそうだ。


あたしは恥ずかしくなって下を向いた。


コンクリートが視界いっぱいに広がる。


あたしがずっとその床を眺めていると、
亜貴が息をはいた。



「悪ぃ。モッチーに言う前にアンタに確認とればよかった。
 俺のせいだな」


「え・・・?」


顔を上げると、亜貴があたしの方を向いて謝った。


なんで?
ていうか、この人、ちゃんと謝れるんだ・・・。


「いいよ。謝らなくて!!
 だいたいあいつが勝手に入ってきたりしないで、
 外で待つとか、

 ・・・種田くんに言ってもらうとか、
 そういう方法考えなかったのが悪いんだし」



「亜貴でいいよ。サンキュな」


亜貴はそういうと苦笑した。




あれ?


意外ととっつきやすい人だった。


あたしも亜貴に向かって小さく笑った。



「ありがとう。亜貴。まぁ、
 決まっちゃったのなら仕方ないし、
 やるからには中途半端になりたくないし!!
 これからよろしくね。亜貴」



「おう」






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