LAST SMILE

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朝が来て、
雪はとっくに止んでた。



どうやって、
家に戻ってきたのかわからない。



気付くとあたしは、自分の部屋にいた。



カーテンを開ける気力もなく、
日の光はそれによって遮られた。




お昼が過ぎて、
ノックをする音がした。






「麗華・・・?大丈夫?」


お母さんの声が扉の向こうから聞こえた。


返事をしないで、
そのままボーっと床を眺める。



「種田くん、きてくれてるわよ?」


お母さんがそう言うと、
扉が開いて、亜貴が部屋に入ってきた。



喪服を着た、
大人びた亜貴の姿がそこにあった。






「麗華・・・。落ち着いた?」



頷くことも、
返事を返すこともできない。



ただ、じっとそこにいるだけだった。



亜貴はゆっくりと床に座ると、
ベッドの上にいるあたしを見つめた。







「今夜、通夜だぞ・・・」


「・・・・・・」


「いけるか?」


「・・・・・・」








あたしが黙っていると、
亜貴は静かに息をついてあたしのそばに寄った。



リストバンドをしていないその手首を
そっと持ち上げる亜貴。




あたしは初めて亜貴の顔を見上げた。



亜貴と視線が合う。




ダメだ。



メンバーに会うと、
どうしても思い出される。





その後ろ手に、
あの人の幻影を・・・。






何十時間か前までは、



一緒にいたあの人の温もりを・・・。



「麗華・・・」


手首の傷痕を、
そっと撫でる亜貴。



「自分を、責めるなよ?
 あいつは・・・あいつの意志で・・」



亜貴がそういいかけたとき、
涙が溢れた。




それは自然と頬を伝って一筋流れた後、
とめどなく溢れてきた。






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