LAST SMILE
LAST SMILE





精一杯、笑いました。







涙を拭いて、






涙を堪えて、笑いました。









そのときだったの。





あなたの姿がみえたのは・・・。











「祐・・・兎・・・?」



あたしがそっと呟くと、
みんなは驚きの声をあげた。



急にざわつき始めて、
あたしはそんな騒々しさを忘れるくらい、


目の前の彼を見つめた。





どうして?


彼はもう、いないのに・・・。








祐兎は確かに、
あたしの目の前に立っていた。







<なんだよ・・・>



祐兎の声が聞こえた。




聞こえた気がした。









祐兎だ・・。
祐兎がきてくれた。





届いたんだね。
あたしの声が。





またあなたはあたしのことを、
見つけてくれたんだね。





<ん。その顔だよ。麗華>



祐兎はそういって、
あたしの頭に手を置いた。




亜貴とは違う、祐兎の手の感触。





少しがさつで、
だけど優しい、力強い手。




祐兎は驚いて目を見開くあたしの唇に、
そっと自分の唇を重ねた。







これで、3度目のキス。



3度目のキスは、
どうしようもなく切なくて、


涙が出そうになるのを我慢して、
あたしは笑った。



そうじゃないと、
消えてしまいそうだったから。





そのときだった。







<そうやって、ずっと笑ってろよ?約束だからな>








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