LAST SMILE



「あんたがくれたプレゼント、
 大事にするから」



“気が向いた”


そういって、
あたしの首につけてくれたあなた。


このネックレスはまるで、
あの日のあなたのように見えました。



「あたし、あの約束、絶対守るから」





“ずっとそうやって笑ってろよ?”




“あのね、お願いがあるの。聞いてくれる?”





“・・・内容によっては”





“あたし、笑うからさ”





“あんたも、笑って?”






“ああ”








あの日の約束を、覚えていますか?


あたしはあの日から、
あなたを笑わせたくて頑張りました。


だけどあなたの前にいくと、
涙が堪え切れなくてしかたなかったの。





「ねぇ、祐兎・・・」


あたしはそこで、口を噤んだ。


気付けばみんなの
すすり泣く声が聞こえてきていて、


ああ、みんな、
祐兎の死を悲しんでくれてるって思った。



みて。祐兎。



あなたのことを思ってくれる人が、
こんなにいるよ?



あたしはもう一度深呼吸をして、
遺影をそっと覗いた。











「大好きよ・・・」










ずっと、
 言いたかった言葉。



あなたがいなくなってから
 やっと言えた言葉。






伝えられなかった。



ちゃんと、目の前のあなたに。



何度、
いう事を諦めてしまったかわからない。







「ずっと、大好き・・・」







言ってしまえばよかったのに・・・。


恥ずかしいとか、


そんな感情は捨てて、


素直に言えば良かった。



こんなに突然、
いなくなるなんて思わなかったから・・・。














「ねぇ、あたし、笑ってるよ?」














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