LAST SMILE



ようやくそこで初めて理解した。


この人がこいつだってことに。


「何だよ。アホくせぇ顔。
 それより、立てんのか?」


「え・・・な・・・はぁ?」



ちょっと待って!



何が何だかわかんない。
なんでこいつがここに?


ていうか、何なのその残念な紳士っぷりは。


あたしはとりあえず立ち上がろうとした。


だけど・・・。



「きゃっ・・・!!」


「うぉ!?何だよ腰抜かしたか?」


足に力が入らずに、よろけてしまう。


祐兎が片手であたしを支える。



何こいつ。
こんなことできんの?


てか、いつもの馬鹿祐兎じゃない感じが
なんか落ち着かない!!




「ホラ。下がってろよ」


「え?あんたは・・・?」


「あ?俺にはまだ宿題が残ってんだよ」




しゅ、宿題って・・・。


子供じゃないんだから・・・。



祐兎はさりげなくあたしを後ろに追いやると、
庇うようにあたしの前に立った。




「おい、持田。てめぇ、ヒーロー気取りかよ」



男のうちの一人、
あの時の先輩の弟が戸惑いながらそう吠えた。



祐兎は余裕で、涼しそうな顔をして笑った。






その笑いは、笑顔とか、
微笑んでるとかじゃなくて、



その目は冷たくて、


絶望感に溢れていて、


どこか怖いような笑みだった。






「祐兎・・・?」


「麗華、すぐ終わっから待ってろよ」



「え・・・?」




祐兎はそうあたしにいうと、
目の前の男達をにらみつけた。










「祐兎っ!!」










< 86 / 173 >

この作品をシェア

pagetop