LAST SMILE







「麗華。もういいよ」





亜貴が、病室の中からあたしを呼んだ。


何時間、廊下で待ってたんだろう・・・。


あたしはゆっくりと顔を上げて、
ふらふらと病室の中まで歩いた。



「俺、先生と話してくるから、
 麗華はここで待ってろな?」


「うん・・・」








亜貴が病室を出て、
あたしは祐兎のそばまで歩いた。





祐兎はベッドの上で、目を閉じていた。




ピッピッ―と、
難しそうな機械が祐兎を囲んでいた。



この画面に映るのは、
今の祐兎の心拍数とか、なんだろうか。



あたしは祐兎の顔をじっと見つめた。



よかった。



助かったんだね。



なんとも、なかったんだ。



良かった。


ほんとに。












「祐兎・・・」











「・・・なんだよ」
















「え・・・?」



低い声が聞こえて、
あたしはぱっと顔を上げた。



寝ていたはずの祐兎が目を開けて、
だるそうにあたしを見つめていた。



「え・・・。大丈夫なの?」



祐兎は上半身を起こして鼻で笑う。



「別に・・・。なんともねぇよ。こんなん。
 ・・・お前、なんつう顔してんの?
 ただの腹イタだっていって・・・」






「嘘!!」












しんと、静まり返る。







あたしが怒鳴ったから。







あたしが、立ち上がって、叫んだから。












< 91 / 173 >

この作品をシェア

pagetop