マーメイドの恋[完結]

そんな生活に、伊原は飽きるのではないか。
伊原には、自由というのが似合っているのに。
何故、伊原は夏子を彼女にしたのだろう。


女ならいくらでもできると思うのに、結婚などしても退屈で飽きるに違いない。
それだけ自分のことを、想ってくれているということなのだろうか。
夏子は少し自惚れた。


しかし、これからも伊原の女性関係で、いろいろと悩ませられることも必ずあるということもわかっている。


夏子は、ひとつ大事なことを忘れていた。
夏子の母親のことだ。


夏子は、伊原に夢中になりすぎて、母親の希望する銀行員と結婚するということを忘れてしまっていた。


伊原の仕事は水商売だ。
銀行員ではなくても、サラリーマンなら母親も納得したかもしれないが。
伊原のことを認めるとは思えなかった。


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