マーメイドの恋[完結]
「今、博多駅から帰るところよ」
「じゃあ又、あの駅の前で待ってます」
地元の駅を降りると、倉沢は待っていてくれた。
「夏子さん、乗って下さい」
「ごめんね、又迷惑かけちゃった」
「どこか行きますか?」
「ホテルに行きたい」
「ホテルってどこの?南木海岸のホテルラ・ムールですか?あそこにカフェがありましたよね」
「違うの。ラブホテルよ」
女の方からこんなことは言いたくなかったが、そうでもしないと夏子の心は張り裂けてしまいそうになっていた。
「えっ?何言ってるんですか?あっ、ふたりっきりで話せるからですか?俺は実家にいるんで俺んちも駄目だし、夏子さんが大丈夫ならラブホテルに入りますけど」
「お願い。そうして」
「わかりました。少し離れた場所にしましょう」
車を移動させ、山手の方の目立たないラブホテルに着いた。
「ほんとに入っていいんですか?何もしませんけど」
「中に入って」