マーメイドの恋[完結]
「独り暮らししとると?」
「そうですよ。南木海岸のところにある、マンションドミールです。だからそちらの方に送ってもらえますか」
「うん。もちろんよかよ。あのマンションにおるとやね」
それから先は、何故か無言のまま伊原は車を走らせた。
しばらく走ると、マンションが近づいてきた。
「マンションの近くまで行ってもらってもいいですか」
田舎とはいえ、やはり夜道を歩くのは怖かった。
マンションの部屋番号さえ言わなければ大丈夫だろうと思った。
「ちょっと海の方に行ってみようか。俺、最近海の方には行ってないから」
夏子は、なんとなくこんな風になる予感がしていた。
この手の男は必ずそういうことをするのだ。