マーメイドの恋[完結]
「カンパーイ」
鍋の用意が出来、ビールをグラスに注ぐと倉沢が言った。
「何にカンパイなのよ」
「夏子とめでたく結ばれたことにだよ」
「そんなことばかり言ってる」
「ほんとに幸せなんだよ。大阪に行きたくないくらいに」
「ありがとう。行かないと後悔するわよ。若い時にしか出来ないことはやっておかなくちゃね」
「うん。頑張るよ。ジムで1年くらい練習して、その後プロテスト受けて、もしプロになれたら夏子を大阪に呼び寄せたいと思ってる。来てくれるよね?」
ー大阪に?ー
「えっ?私も大阪に行くの?」
「だって、ずっと離れて暮らすことになるんだよ。そばにいて支えて欲しいんだよ」
「そうね。わかったわ。私も大阪に行く」
先のことはわからないが、倉沢とずっと付き合うことになれば、そうしなければならないだろうと思った。