マーメイドの恋[完結]

食事が終わってからお風呂を沸かした。
ホテルでは、髪の毛を洗えなかったので、もう一度入り直さなければならないからだ。


夏子は髪の毛が長いので、洗うのも乾かすのも大変だ。
ひとりの時は気にならなかったが、彼氏と一緒にいると、それに時間を取られてしまうことがもったいない気がした。


ひとりだとゆっくり時間をかけられるが、焦って洗ったり乾かしたりするのは嫌だった。


「髪の毛短くしようかな」


「えっ、どうして?すごく似合ってるのに」


「洗うのも乾かすのも大変なんだもん」


「俺は反対だな〜。夏子の長い髪が好きなんよね」


一目惚れから始まった倉沢の夏子への想いは、長い髪イコール夏子なのだろう。
人を好きになるのは、相手の性格を好きになるということだけではないということなのか。


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