マーメイドの恋[完結]

見た目を好きになって始まった恋は、イメージが変わると冷めてしまうのではないか。


ー私が髪の毛を切ったら、私のこと嫌いになるの?ー


夏子は、倉沢に意地悪なことを聞いてみたかったが、やめることにした。
見た目というのも大事なことなのかもしれない。


「わかったわ。私もほんとは切りたくないし。お風呂入ろうか」


ピンポーン


その時、夏子の部屋のインターホンが鳴った。
エントランスにインターホンのないマンションなので、部屋のドアのインターホンだ。


ー誰だろう?ー


セールスマンなど、誰でもマンション内に入れるので、夏子はインターホンが鳴ってもドアを開けないようにしている。
用事のある知り合いや身内や宅配便は、電話をかけてくるからだ。


夏子はケータイの音を消していたのを思い出し、確認する間がないのでドアスコープから相手の顔を確認することにした。


ー篤志さん⁉︎ー


部屋の前にいたのは伊原だった。


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