マーメイドの恋[完結]
ー駄目ですー
そんな返事をする間もなく、伊原は夏子の助手席のヘッドレストに左手をかけて、すばやく夏子にキスをしてきた。
ーやめてー
どうしていつもこうなってしまうのだろう。
夏子の方から好きになることなど、今までもなかったのに、男たちから好意を持たれると拒めなくなり、いつも同じパターンで付き合ってしまうことになる。
「夏子には隙がありすぎるんだよ」別れ際にそう捨て台詞を吐いた男もいた。
好きだと言えばなんとかなる、そんな風に夏子の何かが男たちに見せているのか。
本当に人を好きになったことがないから、好きじゃないから近づくな!
というオーラを発していないのか。
夏子には自分のことがわからなかった。