マーメイドの恋[完結]
「ごめんね。俺、夏子ちゃんのこと好きなんよ。付き合って欲しい」
ー何故キスをする前に言ってくれないんだろうー
「私、まだわからない」
「少しずつわかっていけばいいんじゃないかな。また会ってくれるよね」
嫌だという言葉が出ない。
本当に嫌いな相手なら言えるのだろうか。
好きだと言われると強く断れない。
これもいつものパターンだ。
「また連絡するよ。番号教えて」
もう付き合うことに決まったらしい。
男たちは夏子の言葉など、聞くつもりはないのだ。
やめてー!
と言って突き飛ばせばわかってくれるのかもしれないが、夏子にはそんなことはできない。
ケータイの番号を教えると、伊原はマンションの前に車を移動させた。