マーメイドの恋[完結]
タオルで身体を拭きながら、これも他の女が洗うのかと思うと嫌な気持ちがした。
嫉妬。
わからないけれど、夏子の胸がチクリと痛かった。
バスルームから出ると「じゃあ俺も」と言って行きかけた伊原に声をかける。
「タオルとか洗って帰りたいんだけど」
「タオル?いいよ、お袋が来るから」
ーお袋って嘘ばかりー
「疑ってんの?ほんとだよ。俺、家のことなんて何にもしないからさ」
「そうなんだ。いいのかな?あのままで」
「大丈夫だよ」
彼氏の部屋でそういうことをした後、どうすればいいのか夏子にはわからなかった。
今度、桃乃に聞いてみようかと考えていた。
「今度は、夏子の休みの日の前日に会おうか。そのまま泊まれるように」