マーメイドの恋[完結]
ー今度はいつ会えるのー
そんな言葉も伊原には言えない。
伊原にそんな約束はできないと思うからだ。
夏子の休みは毎週水曜日。
それも伊原は聞かない。
どう付き合えばいいのか、さっぱりわからない男だ。
伊原流のプライドと、伊原自身がカッコイイと思っていることを、理解するのが彼女としての愛情なのか。
水族館デートから10日経った日の夜、やっと伊原から電話がかかってきた。
「あっ、夏子。いつ会えると?」
「休みはいつも水曜日だから」
「じゃあ、火曜の夜に迎えに行くよ」
「うん。待ってる」
こんな受け身の女、伊原は満足なのかしらと少し疑問にも思う夏子だった。