マーメイドの恋[完結]
伊原の部屋は4階にある。
何階建てのマンションなのかは、聞いていないが、夏子が下から見上げてみた時に、10階建てくらいのようだった。
部屋に入って、飲み物を冷蔵庫に入れながら夏子は伊原に話しかけた。
「朝食の分も何か買いたかったんだけど、明日の朝、買ってきていいかな」
「うん。起きたら買ってきてよかよ。あ、合鍵渡しとかんばね」
伊原が夏子に合鍵を渡した。
「いいの?」
「なんがね?いいに決まっとろ〜もん。夏子は来たい時にここに来てよかけんね。休みの前の日、俺が酒飲んで迎えにいけん時もあるんやけん」